1998年09月29日

●「直実ブームを取り巻く現状」

 ここ1年ほどは直実ブームとでもいいましょうか、とかく何かに付け直実が現れます。先日も当寺院本堂にて「熊谷陣屋」 が講演されました。熊谷次郎直実はその名の通り熊谷で生まれ、熊谷で入寂したにもかかわらず、京都では有名ですが、 この地元熊谷ではそれほどではありませんでした。
 そんなことではいけない、剛の者としての名声ばかり先立ってしまう直実の本当の心の持ち様を知って欲しい、 そんな気持ちから熊谷歌舞伎の皆様は直実を演じることとなったものと私は思います。事実、 熊谷駅前に立っている銅像は鎧を着た武士としての直実であり、法力房蓮生法師では無いのです。
 
 直実の真の姿を伝えたい、これは素晴らしいことです。ですが、これに取り巻くものはそのような考えでないように思われます。 寂しいことですが、直実を商品として使う、そういう方々が少なくないのは、誠に悲しい限りです。

 
 例えば、直実に関する書物や資料集を編集すると言って、当寺院より資料や写真を借用したにもかかわらず、 当寺院住職が何十年もかけて全国を回り撮影した写真や図表を無断で使用したり、 (これは著作権侵害に該当します)、当寺院に何の断りもなく本尊さまや直実の墓所をビデオ撮影したり、 (いわゆるゲリラ撮影盗撮に該当します)、 その功績を自分のものとしてしまう者、果ては歌舞伎の当日に賽銭を盗んでいく者(窃盗罪)、 後から来て座布団を用意しろという方(この方は住職や当寺院関係者の誰一人に対しても何の挨拶もしないで帰りました、 それ以前に政教分離ということをご存じ無いのかと疑ってしまいます)、などなど、 人間のいやな部分が見えてしまいました。
 
 歌舞伎を演じる方々、舞台を設定される方々、それに協力される方々が一生懸命であるがゆえに、残念な部分です。

 
 先程述べた本尊・墓所の無断撮影の件ですが、もし私がその方の家の中や仏壇、墓地などを無断で撮影し、不特定多数の人々に見せたとしたら、 その方はどういう気持ちになるでしょうか?きっと、嬉しいなんてことは無いはずです。自分がされたら嫌なことでも、 他人に対してはしてしまう、このような方には2度と入山して欲しくないものです。
 また、阿弥陀様の前では誰でも平等なのです。「・・・貴賤を問わず・・・」とおっしゃっています。歌舞伎でいい席に座りたいからと、 何時間も前から山門前に並ばれたり、入場しきれなくて、畳の上でなく板の間の上に座って鑑賞されている方もいらっしゃるというのに、 座布団を出せとはいったいどういうことなのでしょう。あきれてものが言えません。

 
 嫌な点ばかり申し上げましたが、当寺院の苦労も多少なりともわかっていただきたくこのような文章を掲載致しました。 誤解があるといけませんので、ここで申し上げておきます。山門外等に掲示してありました寄付金の表示、 また門前市と称される催事等は当寺院とは一切関係ないものですので、お電話等によるお問い合わせ・苦情には対応致しかねます。

 
 最後に、歌舞伎関係者及び熊谷寺・久山寺・蓮昭寺檀信徒のみなさまに今後とも真の直実をご理解し続けていただけるようお願い申し上げます。